人生100年時代を安心して生き抜くために必要なお金のこと、皆さん気になりますね。2024年からスタートする新NISA制度使った、老後資金の作り方について紹介します!
オルドじーさんを見習って、人生40年時代を満喫するぞ!
NISA 「きほんのき」
2019年、金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループが公表した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書で、高齢夫婦の無職世帯の収入から支出を引くと毎月5.5万円不足する事実が明らかになりました。
上記は、報告書内で「ライフスタイルによって不足額は異なる」と書かれている通り、高齢夫婦無職世帯 (夫65歳以上、妻60歳以上で世帯主が無職の世帯) の平均不足額となります。
60歳から65歳の定年退職からの老後を仮に30年とすると、不足分は360か月で1980万円です。つまり、老後は、貯蓄から2000万円の取り崩しが必要になります。
終身雇用が定着した日本では、これまで「老後資金は退職金で何とかなる!」と考えられてきましたが、勤続年数や年齢の上昇に伴って賃金や退職金が増加する日本の年功序列制度は、もはや崩壊寸前なので、今後は「自助努力による老後の資産形成が求められている」のです。
2023年までのNISA
自助努力による資産形成が必要な時代における政府の支援策が、NISA (ニーサ) とiDeCo (イデコ) です。iDeCoは、別コラムで紹介するので、ここからはNISAについてわかりやすく説明します!
通常、株式や投資信託などの金融商品による売却益や受け取った配当金には、20.315%の税金がかかりますが、NISA口座における年間非課税枠の投資の場合には、売却益や配当に対して税金がかからなくなる制度です。
イギリスのISA (Individual Savings Account = 個人貯蓄口座) をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がついています。
金融庁 「NISAとは」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html
NISAは、株式や投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できる「一般NISA」と、金融庁がお墨付きを与えた一部の投資信託、ETFを年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できる「つみたてNISA」があります。
一般NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
制度開始 | 2014年1月から | 2018年1月から |
対象年齢 | 20歳以上 | 20歳以上 |
非課税保有期間 | 5年間 | 20年間 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
投資可能商品 | 上場株式、ETF、 公募株式投信、REIT等 | 長期積立分散投資に適した一定の投資信託 (金融庁への届出が必要) |
買付方法 | 通常の買付け、積立投資 | 積立投資 |
NISAの制度は理解できても、投資初心者が市場動向を捉えて売り買いすることは、不可能に近いですよね。
この投資リスクを減らす方法が、投資商品を組み合わせて購入する「分散投資」と、積立投資で購入時期を分散させる「長期投資」の2点で、これを実現させたのが「つみたてNISA」なのです!
日本証券業協会のNISA口座開設・利用状況調査によると、「つみたてNISA」の口座開設数が20代、30代を中心に増え続けています。ここ数年においては、何と!約90%のつみたてNISA口座開設者が、投資未経験者でした。
2018年1月から制度をスタートさせた「つみたてNISA」は、幅広い就労世代の方に対して安定的な資産形成を支援する制度として認知されてきています!
2024年からのNISA
2024年1月からNISAが新しくなります。新NISAでは、年間非課税投資枠の上限が大幅に増え、無期限で運用できる上、引き出して枠が空けば再投資できます。
また今までは、一般NISAと積立NISAのどちらかを選ぶ必要がありましたが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能になります。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
制度開始 | 2024年1月から | 2024年1月から |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
非課税保有期間 | 無期限化 | 無期限化 |
非課税保有限度額 | 1800万円 (簿価方式で管理。枠の再利用が可能) | |
1200万円 | ||
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
投資可能商品 | 長期積立分散投資に適した一定の投資信託 (現行のつみたてNISA) | 上場株式、ETF、 公募株式投信、REIT等 |
買付方法 | 通常の買付け、積立投資 | 積立投資 |
年間の投資枠上限が、つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円に引き上げられています。また、非課税保有限度額の上限は、併用、もしくは、つみたて投資枠だけなら1800万円、成長投資枠だけなら1200万円なのです!
新しいNISAは、現行NISAと比べてとても魅力的。しっかり使いこなせるよう、非課税保有限度額の管理や枠の再利用などについて、Q&A方式でまとめてみました!
- 非課税保有限度額は、どのように累計される?
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購入時の金額 (簿価) の残高方式で管理されるため、購入後の投資商品の値段が上がろうと、下がろうと、非課税保有限度額は変化しない。
- 投資枠の再利用とは何か?
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2024年から毎年360万円を投資し続けると、非課税保有限度額の枠を使い切るのは5年後の2028年だ。そこで、例えば2028年に保有している金融商品の一部、または全部を売却すると、翌年の2029年に売却分の投資枠が復活するという仕組みである。
- 売却分の簿価はどのように管理されるのか?
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100万円で購入した金融商品が130万円まで値上がりし、年内に売却すると、簿価100万円分の投資枠が復活。同じ金融商品を複数回に分けた買った場合は「平均」で計算されます。
例えば、ある金融商品を1年目に100万円で1株買って、2年目に200万円でもう1株追加、3年目に2株のうち1株を売却した場合、150万円「= (100万円+200万円)÷2」の投資枠が復活します。
- 新しいNISAの口座開設は必要か?
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一般NISAや積立NISAの口座がある人は、手続きなしで、自動的に新NISAの口座に移行されます。
- 現行NISAで購入した金融商品の投資枠はどうなるのか?
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2024年に新しいNISAが始まった後も、一般NISAは最長2027年、つみたてNISAは最長2042年まで非課税で運用が可能です。
また、現行NISAの非課税枠を利用していたとしても、新しいNISAの非課税枠には影響を与えないので、1800万円の非課税保有限度額 (成長投資枠は最大1200万円まで) を利用できる。
- 現行NISAで購入した金融商品を売却して、新NISAの運用資金にあてるべきか?
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現行NISAの資産を売却して得た売却金を、新しいNISAの運用資金に充てるのも選択肢の1つですが、購入時よりも金融商品の時価が値下がりして含み損となっている場合、商品を売却するのはおすすめできません。
つみたて投資で、老後に備えよう!
つみたてNISAは、税制優遇を受けながら老後資金を準備する手段の一つですが、例えば、大学を卒業した23歳の新社会人が65歳まで、毎年平均3%でつみたてNISAの非課税保有限度額1800万円まで投資運用できた場合、満期額はどのくらいになるか想像つきますか?
正解は「3600万円」と元本の2倍になります。これだけあれば、老後も安心して暮らせるのではないでしょうか。
月額約3.57万円を「つみたて投資枠」で運用すれば、42年間で非課税保有限度額1800万円に到達しますよ!
つみたてNISAは、利息を元本に加えて増える「複利」なので、早く始めるほど、少ない金額でも複利効果を期待できます。仮に3600万円を老後資金の目標とすると、つみたてNISAの運用期間と収益率、月額投資額は、以下のようになります。
年齢 | 運用期間 | 収益率 | 月額投資額 |
---|---|---|---|
23歳 | 42年 | 3.00% | 3.57万円 |
25歳 | 40年 | 3.15% | 3.75万円 |
30歳 | 35年 | 3.60% | 4.3万円 |
40歳 | 25年 | 5.04% | 6万円 |
50歳 | 15年 | 8.04% | 10万円 |